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マレーシア政府は、シンガポール政府がセラター空港(Seletar Airport)へ計器着陸装置ILSを導入する計画に対し、マレーシア国民の安全を侵す可能性があるとして反対している。

シンガポールのセラター空港はシンガポールとマレーシア国境近くにある軍民共用の空港で、約2㎞先にジョホール州の流通拠点の一つ、港湾都市のパシル・グダン(Pasir Gudang)がある。
問題になっているILS(Instrument Landing System)とは、着陸進入する航空機の進路を遠隔地からアシストするシステムで、ILSにより視界不良時でも安全かつ正確に滑走路上に飛行機が着陸できようになるというもの。
マレーシアがILSの導入に反対する理由は、ILSがアシストした飛行機の飛行高度が非常に低くなる可能性があり、マレーシア人の命を危険にさらすからというものだ。ILSの導入で、飛行機の最低飛行高度は空港から3㎞先で54m、空港から6㎞先で145mになる。最大で高さ103mになるクレーン車でさえも危険にさらされており、パシル・グダン港周辺にある高層建築物も巻き込まれる危険性があるという。

マレーシアが、シンガポールに飛行ルートを変更するように要請したのに対し、シンガポールのカウ・ブーン・ワン交通大臣は、ILS導入でパシル・グダン港が危険にさらされることはないと主張している。ILSは飛行機の自動操縦の機能のようなものであり、危険が予測されれば、操縦士が手動操縦できるという。

シンガポールとマレーシアは来年1月に会談し、ILSを巡る問題について話し合うことになっている。

出典:M’sia and S’pore to thrash out ILS dispute(The Sun Daily)