マレーシアで活躍するこの人に聞く10の質問①

❝ 東南アジア7年目。楽しみは、旅とビールと週1のラグビー ❞

ONE ASIA LAWYERS
弁護士 佐野 和樹さん

◆プロフィール◆
弁護士(日本法)。日本で最初のASEAN法務特化型法律事務所One Asia Lawyersに所属し、現在はマレーシアに常駐。タイで3年間、ミャンマーで1年間執務を行い、2017年からマレーシアに駐在。

One Asia Lawyers
東京のほか、ASEAN9か国(マレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー)に事務所を置き、ASEAN各国の法律に関するアドバイスをワンストップで提供するために設立された日本で最初のASEAN法務特化型の法律事務所。主な業務内容は、M&A、紛争解決、労働法、コンプライアンス対応、知的財産、ベンチャー企業支援、アジア移住支援など。

 


弁護士というと「堅そう」というイメージがありますが、One Asia Lawyersに所属する佐野和樹さんは、話していると豪放磊落なエピソードがどんどん出てきて弁護士のイメージがガラリと変わりました。
7年になるASEAN在住中に一度しか病院に行ったことがなく、「病気だと思わなければ、病気じゃない」というスポコン的精神や、「Good beer, Good country」という旅する国の評価基準など、おもしろいエピソード満載のインタビューでした


 

ミャンマーで出会った女性とまもなく結婚「そろそろ落ち着かないと」

-タイ、ミャンマー、マレーシアと東南アジアがもう結構長いんですね。ひとつ目の質問ですが、マレーシアにはどんな経緯でいらしたんですか?【質問① マレーシアにいらした経緯】

佐野:ASEANは7年目ですね。気づいたら日本に帰れなくなっていて、どんどん漂流している感じです。

 

-それぞれ何年くらいいらしたんですか?

佐野:もともと、別の事務所に所属していた時にタイに3年ほど。そのあと今所属しているOne Asia Lawyersに移ってミャンマー事務所を立ち上げるためにミャンマーに1年ほど赴任したのですが、日本人弁護士がいなかったマレーシアの業務も兼任していました。

当時、ミャンマーでは日系法律事務所の競争が激しくてあまり仕事がなかったのですが、逆にマレーシアの業務はどんどん増えてきていて、マレーシアにいて日系企業の方と仕事した方がいいだろうという事務所の判断でマレーシアに来たという感じです。

 

-今後、またほかの国へ行かれる可能性もあるんですか?

佐野:いえ、そろそろ落ち着かないといけないなと思っています。プライベートなことですが、ミャンマーで知り合った女性と結婚することになりまして。なんというか、もう自由には動けないのかなと思い始めています。

 

-おめでとうございます! ご結婚後は2人でマレーシアに?

佐野:はい。相手はミャンマーの方で、ご両親へのご挨拶はこれからなんですが、そのあとマレーシアに来てくれることになっています。

マレーシアの弁護士佐野氏-02

 

-タイやミャンマーと比べて、マレーシアはいかがですか? 好きなところを教えてください。【質問② マレーシアの好きなところ】

佐野:いや~、楽ですね。住宅は安い割に質がいいし、食べ物も安全。大変なことがないという印象です。

 

-ミャンマーやタイは大変だったんですか?

佐野:ミャンマーはすごく住宅が高いんですよ。2016年当時月1000米ドルのところに住んでいたんですが、エレベーターやジムやプールなんてなくて、玄関のドアなんてがらがらってスライドさせる引き戸で、鍵も簡単なものなのに、ガードもいないようなところでした。
停電はよくあるし、シンクの下の排水管にS字の部分がなくてまっすぐなので、変な臭いが漂ってきたり、コバエが出てきたり……。

タイも良いですけど、全般的な質はマレーシアの8掛けといった印象です。

 

旅先で地元のビールを飲むのが好き「Good beer, Good country」

佐野:あと、東南アジア全般に言えることですが、島国の日本と違って、他の国に行きやすいですね。エアアジアを使えば安いし。

 

-旅行がお好きなんですか?

佐野:好きですね。旅行の延長線上で働いているぐらいの勢いです。
ASEANは全部行きました。スリランカもよかったです。国立公園とか寺院とか、世界遺産にもいくつか行きました。

あと、タイから夜行列車でラオスに入ったときの旅は楽しかったですね。
ASEAN版ハリーポッターみたいな感じで古い駅から夜の8時に出発して、翌朝6時ぐらいに国境の町に着くんですが、そこからトゥクトゥクに乗ってイミグレーションまで行ったりして。
線路の整備状況のせいか揺れるんですけど、二等車だと2人で貸し切って横になれるし。いろんな人にオススメしています。

 

-旅先での楽しみは何ですか?

佐野:地元のビールかな。お酒ではビールが一番好きなんですが、旅先の評価基準は「Good beer, Good country」。おいしいビールがある国が好きです。

そういう意味ではフィリピンはいいですね。ビールの種類が豊富で。
サンミゲルがいろんなタイプのビールを作っていて、レッドホースというビールはアルコール度数が10%もあるんですよ。一発で寝ちゃいますね。あと、アップルフレーバーという種類のサンミゲルが製造しているビールも飲みやすい。

 

-ミャンマーもビールがおいしいそうですね。

佐野:ミャンマービールですね。キリンが買収してから工場が新しくなって、ミャンマープレミアムという種類もできました。ラオスのビアラオもいいですし、タイもいい。タイは生ビール天国です。

 

-その点、マレーシアはどうでしょう?【質問③ マレーシアの嫌いなところ】

佐野:お酒、高いですね。それが一番嫌なところかな。
この辺り(KLセントラル)ではお酒を飲める場所はあまりないですし。

 

-マレーシアは食べ物がおいしいですが、一番好きな食べ物はなんですか?【質問④ マレーシアで一番好きな食べ物は?】

佐野:Shakariki 432”のホッケです。

 

-パブリカの居酒屋ですね。お知り合いなんですか?

佐野:私、ラグビーをやっているんですが、Shakariki 432”の店長がメンバーなんですよ。

 

ラグビーのアジア大会で準優勝!

-ラグビーをされているんですね! 

佐野:はい、日本人のラグビーチームに所属しています。小学校の時に3年くらいしていただけなんですが、ミャンマーで誘われて参加したらハマりました。ほぼ初心者なんですが、マレーシアでラグビーやっている人に悪い人はいないですね。汗かいて、飲んで。週に一回のラグビーが毎週すごい楽しみです。

 

-メンバーは何人くらい?

佐野:常時20人くらい練習に参加しています。
久光製薬の佐藤さんがキャプテンで、だから救急箱にサロンパスがたくさんあるんですよ(笑)

ラガーマンがいたら紹介してください。留学中の学生さんでもいいですし、初心者でも大丈夫です!

 

-ケガ多そうですよね、ラグビーって。

佐野:いや、ケガと認めなければケガじゃない!
ASEANに7年間住んでいますが、一度も病院行ったことなかったんですよ。
ごく最近、ミャンマーで熱が出て、彼女に無理やり病院に連れていかれて点滴打たれたのが最初で最後ですね。

クアラルンプール日本人ラグビーチーム

 

-試合をする機会はあるんですか?【質問⑤マレーシアでの経験で一番うれしかったこと】

佐野:アジア各国の日本人ラグビーチームが年に一度集まる大会があります。
Asian Japanese Rugby Cup、AJRCというんですが、その大会で去年(2018年)準優勝したのはすごくうれしかったですね。

 

面白ければ採用! ということもある感じの弁護士事務所です

-お仕事の話に移りたいのですが、御社はASEAN9か国と日本に事務所があるんですね。

佐野:そうですね。基本的に、ASEANの日系企業、日本人の方を対象にしていまして、各オフィスに日本人弁護士か、現地語を話せるスタッフがいます。シンガポールとマレーシアと日本に関わる案件が結構あるんですが、うちの事務所なら窓口がひとつで調整も楽です。

どんどん事務所の規模が大きくなっていて、日本の弁護士事務所のランキング(所属弁護士の人数)で、最近トップ200に入ったようです。

うちの事務所は「面白ければ採用!」というところがあって、シンガポールの栗田弁護士は、日本人で初めてシンガポール法の弁護士資格を取っているし、中国語を話せる弁護士とか、ニュージーランド法の弁護士資格を持った弁護士がタイにいたりします。

 

-弁護士さんて、まじめで堅いイメージがありますが……

佐野:そんな人は日本で弁護士業務をやると思います(笑)。
うちの会社は私みたいなポップな人が多いですね。帰国して弁護士の同期と仕事の話しをしていても話が合わないくらいです。

 

-マレーシアの事務所もどんどん規模が大きくなっているのですか?

佐野:はい。もう一人日本人弁護士を雇いたいくらいです。

 

-マレーシアに進出する日系企業が増えているということですか?

佐野というか、海外に進出する中小企業が増えているのかもしれません。
大企業は海外案件でも「ビッグ5」といわれているような大きい弁護士事務所に依頼しますが、中小企業は日本語でも難しい法律の話を英語でしなければならない地元のローカル弁護士事務所に依頼するしか選択肢がない状況で、日本人弁護士もいてそれほど高額な費用のかからない幣所はそのちょうど中間にある選択肢という感じです。

マレーシアの弁護士佐野氏-01

マレーシアの市場は成熟しているため幅広い業種でM&A案件がある

-質問⑥ マレーシアの案件の特徴とは?

佐野:マレーシアは市場が成熟していて、買えるレベルの会社も多い。そういった会社を日系企業が買収するM&Aの案件が多いですね。
これがミャンマーとかだと、まだ買えるような会社がないから、自分たちで会社を作ろうという形の進出が多い印象です。

 

-マレーシアではどういった業種のM&Aが多いんでしょうか?

佐野:業種の偏りはないですね。それがマレーシアの特徴かもしれないですね。
例えば、タイは製造業、シンガポールなら金融やサービスが多いように感じますが、マレーシアは、幅広くいろんな業種でM&Aの案件があるほど全体的に成熟しているということだと思います。
強いて言うと、MSCの制度があるからか、IT系が少し多いといえるかもしれません。

 

-他の国に比べて大変なことはありますか?

佐野:どの国にも外資規制はあって、それがリストになっているのが一般的なのですが、マレーシアにはそのリストがない。関連する各官庁にあたって一つずつ調べないといけなくて、この手の初期調査が結構あるのですが、毎回何が出てくるか半分心配、半分楽しみに調査しています。

 

-質問⑦ マレーシアの案件で記憶に残っていること

佐野:外資規制を調べていて、中古車輸入業は100%ブミプトラ(マレー系や土着の少数民族などマレーシアの政策で優遇されている民族)じゃないとダメというのがあって、これはびっくりしました。中華系マレーシア人でもダメなんですよ。結局、これは外資の進出は無理という結論になりましたね。

 

-質問⑧ マレーシアでの経験で一番大変だったこと

佐野:私が買い主側についたあるM&A案件で、売り側についた弁護士の知識が驚くほどなかったことです。例えば、契約書に財務諸表として、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書と英語で書いたら、そのうち二つを消して返してきたり……。財務諸表の定義から説明しないといけないの? という感じでおそろしいほど時間がかかりました。

パートナーのマレーシア人弁護士、Lim Jo Yanがやりとりしていて、彼は優秀で穏やかなタイプなんですが、その彼がかなりイライラしていたほどです。

 

-パートナーなど同僚の方を含め、マレーシア人の働き方についてどう思われますか?【質問⑨ マレーシア人の働き方のいいところ、悪いところ】

佐野:うちのメンバーは全員中華系なんですが、優秀ですしものすごい働きますね。

 

-採用はどうされていますか?

佐野:マレーシア人はJo Yanが採用を担当しているのですが、ものすごい人数を面接して決めているみたいです。
マレーシア人弁護士も欲しいですし、スタッフはもっと増やしていきたいですね。

 

-質問⑩ マレーシアで仕事をする醍醐味

佐野:他の駐在の方も同じだと思いますが、権限が大きいことです。
一応、シンガポールの栗田(弁護士)が上司なんですが、基本的にすべて任せてもらっています。
これが日本だったら、同期がいて、課長がいて、部長がいてってガチガチに固まった組織になっていると思うんですが、海外だと何をやってもいい。責任が大きくて大変だけど、その分楽しいですね。

あとは、海外だと日本人というだけで一気に仲良くなれますね。知り合ってすぐに「今度飲みに行きましょう」って誘っても社交辞令で終わらないことが多いですね。

あと、これはマレーシアに限りませんが、例えば何か問題を抱えているクライアントに解決策など提案をして、それが突破口となって事業がうまくいくと本当にうれしい。これは弁護士という仕事の醍醐味といえると思います。

 

ASEAN法務特化型法律事務所One Asia Lawyersについてはこちら

 

公開日:2019年4月15日