マレーシアにいる今だからこそ資産運用を始めよう

「マレーシアの定期預金」だけ、「円預金」だけでいいの?


資産運用に対する経験値を付けていく中で、正しい思考ベースを持つことは非常に大事です。今回触れているコア・サテライト運用は間違いなくそのベースになってきます。


今回の内容は「コア・サテライト運用」に関してです。

これは、個人のレベルでも資産運用を考える際の基本となり、かつ非常に大事な考え方だと思っています。

これはコア(安定的な運用)とサテライト(積極的な運用)と自分の運用ポートフォリオを分けて考えるもので、コアでは中長期的な安定運用を目指し、サテライトで相対的により大きなリターンを目指すものです。

通常コアになり得るものとしては、価格変動が小さいもの、例えば、先進国債券や広く内容分散されているもの、運用コストが小さいもの、などが挙げられます。サテライトになり得るものは、後進国株式や、不動産投資、テーマ型ファンド、FXなど価格変動が相対的に大きいものや中長期的な目線を必ずしも持たないものが挙げられます。

通常、資産運用と聞くと、いわゆるサテライトに分類されるものを想像される方が少なくありません。そのことから、始めての資産運用がサテライトの運用だけとなってしまう人もいます。

とっかかりとしては、コアでもサテライトでもどちらでもいいかもしれませんが、例えば、サテライトに分類されるもので運用を始めて、さらに踏み込んでいく先がまた新しいサテライト、その次もサテライト、と結局サテライトのみのポートフォリオを持っている方もおられます。この行為は0か100か、のような要素を強めてしまうので、やはり定期的に振り返ってコアとサテライトのバランスを整える必要があるかもしれません。

反対に、コアの運用すら持ってない人、いわゆる通常預金しかしていない人は、これはこれで将来的には大きな問題につながりうると思います。

私の考える一番の懸念は、反資産運用主義を貫いた結果、ある程度重ねた後に資産運用の必要性を抱き、ファイナンシャルリテラシーを高める機会が無かったにも関わらず、サテライト運用に極端に偏った資産運用を始め、大きく資産を失ってしまうというシナリオです。日本国内を見ると、預金一辺倒の人が多い分、この懸念は大きいと言えるのではないでしょうか。

マレーシアの定期預金は「コア」として最適か?

それを踏まえて、ご説明したいのが、マレーシアの定期預金についてです。

マレーシアの定期預金がいかに良いかを日本人の方々が話しているのを聞くことがあります。日本に比べると利率は圧倒的に良いし、定期預金なので元本割れもありえないので、なんだかんだでマレーシアの定期預金が長期で見てベストだという方もいます(他の途上国との比較は抜きにして、日本とマレーシアのみの話です)。

マレーシアの定期預金はコア・サテライト運用のコアとしてぴったりだという認識になるかもしれませんが、実際はどうでしょうか?

ここで簡単にマレーシアの定期預金に関しておさらいをしましょう。

常に変動しますが、近年のマレーシア国内の銀行の定期預金は年利3-4%で、預金額25万リンギットまでPIDMの保証対象です。

これは、日本のペイオフに似たような保証制度で、一つの銀行に対して一人の預金者が保証対象となり、預金口座を複数銀行に持てば保証限度額が増えることになります。

例えば、25万リンギットの定期預金を2つの銀行に分けると、50万リンギットが補償限度という形です。

もしこの条件で、マレーシア国内に50万リンギットを超える定期預金を持っているとしたら、いわゆる元本保証と考えられるような定期預金で管理されていたとしても、制度上、限度を超えている額に関しては、有事の際に元本は保証されません。

この類の話になると、銀行は絶対潰れないという主張をされる方もいますが、その懸念を100%否定できないからPIDMの制度が存在しているとも考えられます。

世界には様々な経済特区が存在しており、例えば、管理額に関わらず90%を保証、など、PIDMとは異なるルールで預金者・投資家の保護をする形も存在します。

何もマレーシアの定期預金に問題があるとは思っていませんし、基本的にはコア・サテライト運用のコアになりうるものだと思いますが、今回のポイントは、優良に見えるマレーシア国内の定期預金も、条件付きで考えていかなければならないという点です。

現実的に預金を分けられる銀行数や制度の限界を考慮し、且つ、他の運用内容や運用通貨とのバランスを考慮しながらコア・サテライト運用に当てはめていくことが大切だと思います。

今回お話ししたコア・サテライト運用の話は、既に確立されている方法論の一つです。

個人個人のライフプランニングによってポートフォリオの内容の差はでてくるということを理解しなければなりませんが、何より大事なことは、大きな額を、ということではなくとも、少しずつ早いうちから資産運用に対して経験値を付けていくということだと思います。

その際にこのコア・サテライト運用という方法論は非常に参考になると思っております。


◆著者プロフィール
柏村信光
通称かっしー。資産運用コンサルタント会社「Infinity Financial Solutions」所属のファイナンシャルアドバイザー(マレーシア・ラブアン金融庁公認)。イギリスCII認定。
マレーシア初のラブアン金融庁公認日本人ファイナンシャルアドバイザーとして、主に個人を対象に、中・長期的な資産運用のコンサルタントを行い、老後生活へ向けての準備などをアドバイス。またマレーシアへ移住された方への資金管理方法の相談なども請け負う。

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◆当連載について
マレーシアにいる今だからこそ、資産運用について考えてみませんか? 日本でないと資産運用は難しいと思っている方は多いですが、マレーシアにいても資産は増やせます。

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