現在マレーシアに在住していますが、将来様々な国で仕事をする可能性もある田中さんがファイナンシャルアドバイザーの柏村さんから、将来の居住国に影響を受けない資産運用について学んでいきます。
田中:かっしーさん、こういうご時世なんで自分自身でも少しはお金や資産運用のことを勉強していきたいなと最近思っているんですが、資産運用において一番重要なことって何でしょうか!?
柏村:一番って言われたら、やはり、「時間」じゃないでしょうか?
田中:時間ですか?
柏村:はい、時間の有る無しで出来ることも違えば、運用の際の効率やリスクも大きく関わってくるので、どうやって運用をするかも大事ですが、時間の有無はそれ以上に大事だと考えています。
田中:てっきり「何に投資するか」の事ばかり考えてしまうところでした!
柏村:もちろんその点も大
事ですが、やはり時間ですね時間!
田中:具体的に教えて貰えますか?
柏村:よく聞く話かもしれませんがまずは複利効果の差です。
運用は「足し算」ではなく「掛け算」です。
仮定シナリオ(30年間)として100万円という元本に対して、年間の運用利率が5%という運用の場合、表のような数字の動きをみせ最後には430万円程になります。
数字だけみてもふーんって感じかもしれませんが、もし、複利効果を最大限利用しなかった場合、例えば25年後に開始すると、そこから5年後に同じ結果の430万円に達するためには300万円以上の元本が必要となります。
”増え幅自体が増える”というのが複利の特徴です。
田中:なるほど、こんなにも数字上で差が出るんですね。確かに時間は大事な要素だということがわかります。
これは一括の運用の話だと思うんですけど、積み立ての場
合でも同じことが言えるんでしょうか?
柏村:そうです。最初から一括で資金があるか少しずつ元金を増やしていくかの差はありますが、原理は同じことです。
何もしていない人は、一年また一年と既にもっている機会を失っているとも言えます。
田中:もし積み立てなり何なりの資産運用をいつかはするということが決まっていれば、やはり先延ばしをしてよいことはないんですね。
まさに普段の仕事と一緒ですね!(汗)
柏村:確かに仕事に関してもギリギリで対応するのではなく、時間をしっかり取って準備し取り組んだほうがいいですよね!
時間の「元本保証能力」
田中:時間を有効に使った運用をすることで複数のメリットが発生するということですが、運用効率以外にどのようなメリットがあるんですか?
柏村:他の大切な要素として元本保証能力が挙げられます。
あくまで一例なのですが、仮にアメリカのS&P 500(日本の日経平均株価のようなもの)インデックスを用いて資産運用をするとします。
アメリカの優良株式500種を1セットでまとめ買いするよ
うなものですね。
統計上、S&P500インデックスで運用していた場合、どのタイミングで運用を始めたとしても、仮に最も不適切なタイミングで買っていたとしても、15年以上保有していれば元本割れ確率は0%になるんです。
10以上の保有でも元本割れ確率は2%なので、時間の威力は運用効率以外にも守りの観点にも繋がります。
田中:でもこれってアメリカ株式だけじゃないんですか?
柏村:多少の違いはもちろんありますが、アメリカだけではなく、全世界の株式インデックスにも言えますし、債券などその他のアセットにも同様の現象が起きます。
日本の株式は少し違いますが・・・。
田中:なるほど。過去には何度も経済危機があったはずで、それが悪い影響を与えているはずですが、そんな悪い条件を含めてでも統計上元本割れの確率が0というのは確かにすごいですね。
柏村:実際ウォーレン・バフェットのような投資の神といわれるような人も時間をかけるという考え方を資産運用の中心に置いています。
運用内容がしっかり分散管理されてリスク管理されていれば、多少の上がり下がりに一喜一憂せずに粛々と続けるのがやはり正しい向き合い方ではないでしょうか。
(最終更新日:2021年7月13日)
◆著者プロフィール
柏村信光
通称かっしー。「Infinity Financial Solutions」のファイナンシャルアドバイザー。マレーシア・日本人商工会議所(JACTIM)の編集長&副広報委員長。マラヤ大学アジア・ヨーロッパ研究所卒。在馬歴14年。
金融庁公認のファイナンシャルアドバイザーとして、海外駐在員やリタイアメント・長期移住、母子留学や海外就職の方々など、それぞれの状況や課題に沿った資産運用・保険のサポートを行う。
◆当連載について
柏村メッセージ:海外在住の今、改めて自身の将来設計について考えてみませんか?海外在住の立場として、将来様々に変わり得る生活に合わせた準備をすることができます。オフライン・オンライン、どちらもで対応可能ですのでお気軽にお問合せ下さい!