初めまして、TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.の堤と申します。日本の弁護士ですが、タイ、ミャンマーに拠点を有しており、今年、マレーシアにも拠点を開設しました。マレーシアで事業をされている皆様に役立つ法律情報を本コラムで提供できればと思います。

第1回目の本稿では、2017年1月に1965年会社法(以下「旧会社法」という)を改正する形で施工された新たな会社法(以下「新会社法」という)についてQ&A方式で主な改正点を解説いたします。

Q1. 必要な居住取締役の人数が変更されたのですか?

A1. 旧会社法では2名以上の居住取締役が必要とされていました。しかし、新会社法では、非公開会社においては、居住取締役は1名で足りることとなりました。なお、新会社法においても、公開会社は居住取締役が2名以上必要となります。

Q2. 取締役の定義が変更されたのですか?

A2. 登記上の取締役のみならず、新会社法においては、取締役の過半数がその指示に従って行動することが常態化していれば、当該指示する者も取締役に該当することが規定されました。

Q3. 取締役の年齢制限が変更されたのですか?

A3. 旧会社法では、原則として70歳以上の者は取締役に就任できませんでした。しかし、新会社法では年齢の上限に関する規定は削除され、18歳以上であれば取締役になることができる旨規定されています。

Q4. 額面株式制度はありますか?

旧会社法では額面株式制度が存在しましたが、新会社法により廃止されました。これに伴い、授権資本制度も廃止されました。

Q5. 株主の書面決議の要件はどのように規定されていますか?

旧会社法では全株主の署名が必要でしたが、新会社法では、普通決議は過半数、特別決議は75%以上の株主の署名で有効となる旨規定されています。

Q6. 定款を作成する必要がありますか?

旧会社法では定款を必ず作成する必要がありましたが、新会社法では定款を作成するかは任意となりました。なお、既に定款を作成している会社は、新会社法施行後も、当該会社が定款を変更しない限り、そのまま有効なものとして取り扱われます。

Q7. 株主総会を定期的に開催する必要がありますか?

新会社法においては、非公開会社の定時株主総会開催義務が免除されたため、非公開会社の場合には定期的に株主総会を開催する義務はありません。

<筆者紹介>
堤 雄史(つつみ ゆうじ)
TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD. 共同代表取締役兼弁護士(日本)
東京大学法科大学院卒。ミャンマーのSAGA国際法律事務所(http://www.sagaasialaw.com/)代表、
タイのTNY国際法律事務所(http://www.tny-legal.com/)共同代表。マレーシア法、タイ法及び
ミャンマー法関連の法律業務(契約書の作成、労務、紛争解決、M&A等)を取り扱っている。

問い合わせ先:yujit@tny-legal.com

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