企業保険でリスクマネジメント①マレーシア特有のリスクとは

ご加入の企業保険で、リスクマネジメントは万全ですか?
「企業保険は自分の業界には必要ない」と考えていませんか?

ついつい後回しにしがちな「保険」。
個人保険でも比較が難しいのに、企業保険ともなると、もっと複雑。
しかも、マレーシアならではのリスクにも備える必要があり、「万全です!」と胸を張れる経営者は少ないのではないでしょうか。

そこで今回、マレーシアの日系保険代理店の最大手のひとつ、豊田通商グループ傘下のTOYOTA TSUSHO HOKEN AGENCY (M)  の武井ディレクターと、シニアマネージャーの阪東さんに「マレーシアに拠点を置く企業のリスク」と「企業保険を利用したリスクマネジメント」について伺いました。



◆プロフィール◆

TOYOTA TSUSHO HOKEN AGENCY(M) SDN. BHD.
Director / 公認会計士
武井 俊樹 さん

公認会計士の資格をもち、日本、オーストラリアなどで大手監査法人、投資ファンド、不動産投資会社などで、投資/評価、債券管理、内部統制、デューデリジェンス、コンプライアンス・リスク管理に関するフレームワークの立案から実行など幅広い業務に関わる。2012年からTOYOTA TSUSHO HOKEN AGENCY (M)の代表を務める。

Senior Manager / ACII
阪東 いずみ さん

 東京海上日動火災保険会社(当時は東京海上火災保険)で自動車損害部で6年半勤務。イギリスに留学し、イギリス勅許保険協会の資格 ACII(Associated Chartered Insurance Institute)を取得。米系大手のMarsh Insurance Broker Japan(当時はJohnson & Higgins Insurance BrokerでMarshに買収)で3年半営業部に勤務。豊田通商保険会社の営業部6年半勤務、今に至る。


TOYOTA TSUSHO HOKEN AGENCY(M) SDN. BHD. の企業概要はこちら

企業保険とは?  紙一枚の保険が企業を救う

- そもそもなのですが、「企業保険」って何なのでしょうか?


武井 ひと言でいうと「企業運営に関わるあらゆるリスクを保険会社に移転すること」ですね。
保険は、たった紙一枚。しかし、備えがあれば、万が一の事態が起こった際に企業が被るダメージは軽くてすみます。


具体的には、工場や倉庫など「不動産」、車、家具、パソコンなど「動産」、スタッフや役員など「」、サーバに蓄積した「データ」、あとは見えないものですが「時間」「得られたはずの利益」も対象になります。

-火災保険や医療保険をイメージしていましたが、本当に多岐にわたるものをカバーできるんですね。


阪東 世界情勢に合わせて保険も変わっているんですよ。例えば、日本の台風もそうですが、世界的に異常気象がみられますね。それに合わせて、例えば以前は洪水で車が水没しても自動車保険ではカバーされなかったのが、最近はカバーできる特約も出てきました。

あと、サイバー攻撃に備えるサイバー保険。マレーシアでも、ここ数年で取り扱う保険会社が増えてきました。

ほかに、社会が成熟してきてアメリカのように訴訟が増えてくると、会社のキーマンが株主や社員などに訴えられた際のための「役員保険(会社役員賠償責任保険、D&O保険)」も重要になってきます。

豊通保険の企業保険でリスクマネジメント

企業保険が適用されないケース、保険が不要なケースとは?

-お聞きしていると、想定すべきリスクがあまりに多くて、どんな保険をかけるべきか決めるのは大変そうですね。

武井 だからこそ、プロに相談していただきたいのです。これまでいろんな企業様の代表者や総務担当者に企業保険のコンサルティングを行ってきましたが、「保険」に関しては誤解が多いです。契約内容を理解していない方も多いですし、リスクマネジメントの手段として保険にしない方がいい場合もあるのですが、そういったことをご存知の経営者は非常に少ないですね。

-保険に関する「誤解」とはどんなことですか

武井 多いのが「保険金は何に対しても支払われる」という誤解ですね。例えば、「盗難」に関わる保険。盗難被害の保険をかけていた場合、基本的に外部の第三者が盗んだ場合は保険が適用されますが、社内のスタッフの犯行だったら保険は適用されません。



ーそれは意外です! 

武井 よくある「保険に関する誤解」です。



ー保険をかけない方がいい場合というのは?

武井 例えば、A社が関連会社のB社に在庫の保管を委託したとします。ある時、B社の社員がその在庫を盗んでしまった。この場合、先ほどの盗難のケースと同じで内部犯行なのでB社の保険ではカバーできません。では、A社が何らかの保険をかけるべきか…というと、必ずしもそうではないんです。保険以前に、在庫商品の管理責任はどちらにあるのかを契約ではっきりさせることが大切。この契約をきちんとすることで、保険が不要になるケースは結構あります。

豊通保険マレーシアでは、保険をかける前のリスク調査やコンサルティング、アドバイザリ―にも力を入れている。


企業保険- 信頼できる代理店を選ぶ3つのポイント

-お聞きしていると、やはり「企業保険」は専門的で難しい……。プロにきちんと相談すべきなんだと分かりました。しかし問題は、どの保険代理店さんが信用できるかよくわからないという点です。

阪東 保険の代理店を選ぶ際は、①保険の知識があるか、②親身になって会社のことを考えてくれているか、③保険金の請求をきちんとしてくれるか、を基準にするといいと思います。

約款の内容などで分からないことがあれば質問して、きちんと説明してくれる代理店、信頼できるなと感じられる担当者がいる代理店を選ぶのがおすすめです。

多くの代理店さんは保険会社のパッケージをそのまま販売していて、保険に関する知識がないところもありますからね。

弊社は代理店ですが、顧客の立場に寄り添った、ほぼ保険ブローカーと同じサービスを提供しています。具体的には、保険をかける前のコンサルティングリスク回避のための調査に力を入れているのですが、これは保険に関する知識ができないことなんですよ。

また、保険で一番大切なのは、やはり「保険金がきちんと支払われるように対応してくれるか」ですよね。弊社には、保険金を請求する「損害部門」があり、契約内容に応じた道理の通った回答が保険会社からもらえるまで粘り強く交渉します。

-保険の「入口」と「出口」、両方に力を入れているということですね

阪東 そうです! 長年信頼を得ている代理店は、どこも「出口」、つまり請求を担当する「損害部門」が強い。弊社も、今後もさらに「損害部門」を強化していく予定です。

ー「入口」についてもう少しお聞きしたいのですが、調査というと、具体的にはどういうことをされているんですか?

武井 例えば工場をおもちの企業様の場合、まずは工場に行って、どんなリスクが想定されるかチェックします。少し機材を移動するだけで事故が起こる可能性を低減できる場合もあります。

また、スプリンクラーやCCTVなどの設置をおすすめすることもあります。
これは、リスクマネジメントの一環であると同時に、例えばスプリンクラーを設置することで、火災保険の保険料に割引が適応されるというメリットもあるからなのです。保険料の割引のことをご存知なくて、高い保険料を長年支払っている企業様は多いです。

-コンサルティングの方はどういうことをされているんですか?

阪東 事業の全体像を把握してリスクを見付け、それをカバーできる保険のパッケージをご提案します。

例えば最近ですと、日系のIT企業や会計事務所がマレーシアに進出される際にご相談いただくケースが増えています。これらの業種で大切なのは「情報」であり、情報を管理する「サーバー」です。なので、かならず「サーバーはどのように管理されていますか?」とお聞きします。

ほかには、リース契約の内容を確認します。リース料金に保険が含まれていることがあるのですが、その分の保険は不要ですから。それを知らずにダブルで保険をかけている企業様は結構いらっしゃいます。



-リースの契約内容まで含めてコンサルしていただけるんですね! 

武井 これらはほんの一例です。業種や規模によって想定されるリスクは異なりますが、うちには経験や知識が豊富なスタッフがそろっているので、全体を見渡して「抜け」や「ムダ」がない保険パッケージを作れるのです。



知らなければ損!「特約」のパワー

武井 あと、弊社は代理店のなかでも大手ですから、保険会社に対してマーケティングパワーがあります。それを活かして、小さな代理店ではできないようなさまざまな「特約」を追加できるのも強みですね。



-「特約」というと、どういうものがありますか?

阪東 いろいろありますが、保険会社としてはベーシックなパッケージには入れたくないような特約もあります。

例えば、「テクニカルアドバンスクローサー」。これは、パソコンなど新商品の
開発速度が速い財物に関わる特約です。ベーシックな内容の保険ですと、もともと持っていたスペックと同等のものへの買い替えが基本なのですが、この特約を付けておくと最新のスペックのものに買い替えができます。

2人の日本人専門家による強力なサポートが強み


-武井さんは公認会計士の資格、阪東さんはイギリスの保険協会の資格「ACII」をお持ちなんですね。マレーシアの保険代理店に専門的な知識をお持ちの日本人が2人もいらっしゃるとは思いませんでした。

武井 阪東は日系保険会社や外資系の大手保険ブローカーでのキャリアがありますし、マレーシア人スタッフのダニエルは、東京海上で19年働いていました。

保険の「原理原則」を理解しているスタッフが何人もいるのは弊社の強みですね。

阪東 公認会計士の有資格者がいる保険代理店はさらに珍しいと思いますよ。例えば、工場が損害を受けたときに必要な「得られたはずの利益」の計算はかなり複雑ですが、弊社ならそれができます。

武井 保険に関する専門知識に関しては、自信があります。以前、弊社を利用するのに懐疑的な経営者の方から、3時間にわたって質問攻めにあったことがありました。阪東と2人で、すべての質問に真摯にお答えしたところ、それ以降、弊社をいろんな面で頼ってくださるようになったという経験もあります。

豊田通商のグループ会社としての社会的責任もありますし、安心してご相談いただければと思います。

マレーシアならではの経営リスクとおすすめの保険

―お二人はマレーシアでのご経験が長いですが、マレーシアならではのリスクというと、どういうものがありますか?

武井 日本と比べて多いなと感じるのが、内部関係者による詐欺です。
ひと昔前だったら、小切手のサインの偽造。
最近のケースでは、取引先に「銀行口座がかわったので来月から新しい口座に入金してほしい」と連絡して入金されたら詐取という手口とか。

盗難保険では内部犯行による損害はカバーされないのと逆で、「フィデリティギャランティ」はこういった内部犯行による損害をカバーする保険です。日本ではあまり必要ないのですが、マレーシアではかけておいた方がいいでしょう。

阪東 あと、マレーシアは労働者は労働法で強く守られています。解雇、降格、左遷、給料を下げるなどの格下げの措置が非常に難しいのですが、それだけでなく、もし処置に不満をもっている従業員から訴えられた場合、裁判で負ける可能性が高いのです。

その際の支出に適用できるのが、役員保険(D&O保険)です。裁判ともなれば費用もかかりますし、損害賠償を請求される可能性もありますが、そういった支出にも適用されます。

武井 スタッフに関していうと、マレーシア人のスタッフはすぐに辞めてしまうケースが多いですよね。そこで、団体医療保険団体生命保険を充実させて会社の魅力を高め、離職を防ぐ取り組みをされている経営者もいらっしゃいます。



― すでに他の保険代理店と契約していても、コンサルしていただけますか?

武井 保険の見直しですね。大歓迎です。創業時に保険をかけてそのまま、という企業様が結構あるのですが、定期的な保険の見直しは必須です。

スタッフが増えたり、オフィスや工場を建て増ししたのに保険の内容はそのまま……。という状況で何かが起こった場合、受け取れる保険は、必要な額には満たないでしょう。

見直しを機会に、まるっと全部お任せいただければ、事業全体をみて「抜け」や「ムダ」のない保険パッケージをご提案します。

逆に、これから工場を建設する、プロジェクトに取り掛かるという場合に、設計図や契約書を拝見するところから関わらせていただくのも歓迎です。建設現場の事故なども含め、きちんとカバーできる保険をご提案いたします。

ご相談いただくのは無料ですから、お気軽にお問い合わせください。


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